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『エースコンバット6』は、Xbox 360向けに2007年11月に発売されたフライトシューティングです。
シリーズではアーケードと外伝を含めた第11作目にあたるものでプレイヤーはエメリア共和国の空軍パイロットとして、エストバキア軍との戦争を戦い抜きます。


簡単な説明はここまでにして、エースコンバット6が発売時に熱心なファンによって「なんとも言えない微妙な評価」になってしまったのか探っていきましょう。
なぜならこの『エスコン6』の結果が、より画面でのアクションを重視し、より分かりやすさにポイントを振り分けた『エースコンバット アサルト・ホライゾン』の誕生へ繋がったと言えるからです。

エースコンバット6はパッケージの裏面にも書かれている通り大群vs大群が激突する「群れなす翼の大戦場ドラマ」として構成されています。
そのため、初出撃となるミッション1「グレースメリア侵攻」では、16:9のディスプレイを覆いつくすような大量の敵機を相手に戦うことになります。この展開は『エースコンバット5』ミッション3「間隙の第一波」や『エースコンバットZERO』ミッション7「ハードリアン線攻略」など、多段階攻勢+大規模戦と同じような構成です。
グラフィックもより豪華になり、PS2時代では表現しきれなかった雲海や、機体や地表のバンプ/スペキュラマッピング、高解像度のテクスチャ、細かなエフェクトなど現在でも目を見張るような表現が多いです。
このようにシリーズファンがプレイするにはよりリッチになった『エースコンバット』ですが、何が微妙な評価を受けてしまったのかその原因を探っていきましょう。

まず初めにミッションのメリハリといった構成です。『エースコンバット6』がより大小ゲームプレイのメリハリに関心を振り分けた構成であれば、プレイヤーへの次世代機(2007年当時のXbox 360)のプレゼンテーションとなるミッション1のような大規模戦以外にも、少数機による戦闘ミッションなどが登場するはずです。
しかしながら、前述のとおり大群vs大群をテーマとしているため、ほぼ全てのステージにおいてどこから陸上/航空戦力をかき集めて来たかわからないような決戦状態が続きます。
これでは、最初から最後まで同じようなゲームプレイをし続けてしまうために、ゲームプレイと画面の印象が画一的となってしまうことに不思議ではありません。
さらに大量のターゲットとモブ敵が登場することから、プレイヤーだけが全てを破壊しつくす「シューティングゲームの最終局面における全破壊の爽快感」が存在しないことになってしまっています(しかしながら、ボム的存在の「支援要請システム」がある)。

さらにこの画一的な印象にもうひとつ厳しい要素が加わってしまいます。それは30fpsとフライトシューティングとしては低いフレームレートと重い機体操作です。
PS2時代のエースコンバットは、様々な制限がありながらも60fpsを維持してきました。それらはゲームプレイにおいて分かりやすいなレスポンスを与えています。
『エースコンバット04』こそ初期機体においてストレスが溜まるような重い操作感でしたが、次作の『エースコンバット5』と『エースコンバットZERO』では初期機体でもストレスのない重くないような操作性とレスポンスを表していたため、ゲームプレイやストーリー、無線に集中しやすいというのがありました。

『エースコンバット6』では、30fpsで動作することに加え『04』のようにと重い操作性から思い通りのゲームプレイを展開させ辛く、ガンキルも難しくさせています。
それらを解消するような加速と減速を同時押しで発動させられる「ハイGターン」がありますが、著しくスピードを失ってしまい失速しやすいのが難点です。
また『エースコンバット6』が何となく地味な印象を与えるのが、広大すぎるマップという点でしょうか。別の作戦に参加するにあたってフルスロットルで加速し続けるのですが、その地点になかなか到着しません。そのためステージが進むごとにスピード感が感じられないのが爽快さを殺いでしまっています。

またストーリー表現にも目を向けていきましょう。PS2時代の『エースコンバット』では簡単ながら世界状況説明がゲームプレイの最初に明示されていました。
プレイヤーがプレイするのは開戦における初戦ではなく、ある程度戦況が進展したところから始まっています(この構成は04/5/ZEROの3タイトルでも変わらない)。
しかし、『6』ではアバンタイトルにおいてプレイヤーがこれから戦乱に巻き込まれることを示す戦闘機や戦争、兵士などのアイコンが示されていません。
このような状況において、何も知らない(固定されたイメージを持たない)プレイヤーのテンションを高めることは難しいのではないでしょうか。
ストーリー展開としては戦争においてダーティーで陰鬱な一面をほぼほぼ見せなかった『エースコンバット5』に準じており、おとぎ話のような物語が展開します。
ストーリーの明示に関しては、描写不足ながらも一定の水準は保っていると言えますが、前述の無意識にストレスが溜まる要素に加え、プレイヤーに様々な感情を芽生えさせる戦争のダーティーさや、パイロット達のコミカルな描写が一切なかったことから、暗に非難されてしまったのではないでしょうか。

これらのように『エースコンバット6』は、ゲームプレイとしては多すぎる情報量や、感情が動かない足りない描写など、ある意味で失敗してしまったタイトルと言えるでしょう。しかしながら、次世代機(当時の)としての素晴らしいグラフィックとパフォーマンスを発揮したタイトルでもあることに加え、ゲームプレイシステムもさほど過去作と変わりないことからこれらの「無意識に感じるストレス」が見えにくいタイトルでもあります。


さてこれら要素は次作の外伝である、『エースコンバット アサルト・ホライゾン』と『エースコンバット インフィニティ』ではPS2時代のゲームプレイ中に語られる物語展開に戻したため、ストーリー展開はカットシーンだけにとどまらないように改善されています。
しかし『エースコンバット アサルト・ホライゾン』は、ゲームシステムを大きく変えたことにシリーズファンから批判が集まってしまいました。
しかし、6のようなより拡大した大規模戦を行うと「プレイヤーの存在意義がなく、とても地味なことになってしまった」ことに関してと、無意識下における小さく連続したストレスがかかる事に関して指摘されていません。
私自身は、他人から見て地味なゲーム画面とならなかったドッグファイトモードを高く評価します。
あともう一歩改善が加えられれば十分有効なシステムであったことは確かだからです。

このように『エースコンバット6』は作品として完成されているため面白い作品ではありますが、ある意味ではシリーズの方向性をブレさせてしまった失敗作ともとれます。
30fpsというフレームレートとレスポンスに関してはハードウェア的に改善が可能であるため、今後PCやPS4向けにリマスタリングされたアップグレード版が開発されることを切に願うばかりです。

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